2012年05月20日
「だいこん持ってけよ」
「この歳になったら嫁はんとは男と女やないわ。二人三脚や。どこ行くんもいっつも一緒やで」
最近よく話をするようになった、六十谷大関橋の袂で畑を作ってるおじさん。今年80歳なそうな。
山道を尋ねたのがきっかけで、山に登る時、決まって声を掛ける。

おじさんは、六十谷で三代続く農家の主で土地や山をたくさん持ってるらしく、
「これもそうや」
と背後の山に向かって円を描くように右手をぐるっと回して見せたものだ。
「わしは何不自由なく生きてきた。こんな人間も世の中におるんや」
おじさんの話は、胡瓜や茄子の作り方から始まって、孫の成長、人生談義と幅広く、
このおじさんとの会話が「六十谷山登り」の楽しみの一つでもある。

先日も、滝谷口から観音尾根を2、3時間歩いた帰り、おじさんに声を掛けた。
「いつ来るんかなて思てたんや。これ持ってくか?」
おじさんは、畑から大きめの大根を2本無造作に引き抜いてボクに渡してくれた。

「朝の山はええで。今度5時頃来たらええわ」
(5時とはまた早いな…)
「ありがとう。また来るわ」
バックミラーに映るおじさんの姿が段々小さくなり、曲がり角で視界から消えた。
朝5時の山もいいな…
最近よく話をするようになった、六十谷大関橋の袂で畑を作ってるおじさん。今年80歳なそうな。
山道を尋ねたのがきっかけで、山に登る時、決まって声を掛ける。

おじさんは、六十谷で三代続く農家の主で土地や山をたくさん持ってるらしく、
「これもそうや」
と背後の山に向かって円を描くように右手をぐるっと回して見せたものだ。
「わしは何不自由なく生きてきた。こんな人間も世の中におるんや」
おじさんの話は、胡瓜や茄子の作り方から始まって、孫の成長、人生談義と幅広く、
このおじさんとの会話が「六十谷山登り」の楽しみの一つでもある。

先日も、滝谷口から観音尾根を2、3時間歩いた帰り、おじさんに声を掛けた。
「いつ来るんかなて思てたんや。これ持ってくか?」
おじさんは、畑から大きめの大根を2本無造作に引き抜いてボクに渡してくれた。

「朝の山はええで。今度5時頃来たらええわ」
(5時とはまた早いな…)
「ありがとう。また来るわ」
バックミラーに映るおじさんの姿が段々小さくなり、曲がり角で視界から消えた。
朝5時の山もいいな…
Posted by Ric. at
20:05
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2012年05月17日
差し引き
鬼の撹乱か、ここ3週間余りビール以外の酒を口にしていない。
ビールは清涼飲料水、食前酒みたいなもので、小生の中ではアルコールと認知されていない。
ウィスキー一本槍だったが、臭いを嗅ぐのも鬱陶しいという気分だ。
バーにはたまに行くが、辛めのウィルキンソンのジンジャエールか紅茶、コーヒーを飲んでいる。
それでも「間が持つ」。
「禁酒」というほど大上段の決意でもないし、過度の健康オタクになった訳でもないが、
少量の酒でも翌朝残るようになってから、それが不快で、「もういいや」という気分になった。
「差し引き」して、飲まなくなった時の「収穫」に新鮮なものを感じた。
まあ、「卒業」だな。
次は、煙草かな?
ビールは清涼飲料水、食前酒みたいなもので、小生の中ではアルコールと認知されていない。
ウィスキー一本槍だったが、臭いを嗅ぐのも鬱陶しいという気分だ。
バーにはたまに行くが、辛めのウィルキンソンのジンジャエールか紅茶、コーヒーを飲んでいる。
それでも「間が持つ」。
「禁酒」というほど大上段の決意でもないし、過度の健康オタクになった訳でもないが、
少量の酒でも翌朝残るようになってから、それが不快で、「もういいや」という気分になった。
「差し引き」して、飲まなくなった時の「収穫」に新鮮なものを感じた。
まあ、「卒業」だな。
次は、煙草かな?
Posted by Ric. at
08:48
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2012年05月16日
旅…あの頃

むせ返る程の緑…
「おまえはあの木の股から生まれたんやで」

小さい頃、父親にからかわれ半分に言われた、幹が二股に分かれた柿の木は今も健在だった。樹齢およそ百年か。
風景はあの頃と何一つ変わっていなかった。ただ、全てが箱庭のように小さく凝縮されていた。
50年前、家族5人が暮らしていた家屋は全てが朽ち果て土に還っていた。

僅かに当時を偲ぶものは、辺りに散乱する瓦と朽ちた梁ぐらいのものか…

「あの柿の木は渋柿やったな…」
杖をついた母親が懐かしげにつぶやく。
母親に懇願され故郷の田辺市秋津川、通称「竹薮」の集落を20数年ぶりに訪ねたのは先週のこと。
今この集落に住むのは二家族のみ。
50年ぶりに逢う「顔」は、漠とした印象で名前すらも思い出せないが、
皺の深く刻まれたその表情から懐かしさだけは濃密に伝わってくる。
互いの名前と顔を確かめ合い、話に花が咲いた。
この小さな集落には、人懐っこい生き物たちもいた。

街中のワンニャンと違って警戒心はない。

まるで「ようお越し」とでも言いたげな面々。

2時間余り旧交を温め、往時を懐かしみつつ、集落の道端で採れた蕗を土産に持たせてくれた爺さん婆さんたちと別れ、
一路母親の生まれ育った古座町は田原を目指し車を走らせる。
「来月もまた来ようか?」
後部座席の母親にそう問いかけたが、母親はもう気持ち良さそうに居眠りをしていた。
Posted by Ric. at
04:10
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