2010年06月01日

さて、どの店に…

その若者はどこか暗い陰を宿していた。

行きつけのバーでよく顔を合わす。

何度目かに会った夜、店の人たち共々打ち解けた雰囲気になった。

客は彼と私だけだった。

笑顔はあるが容易に他人を近づけない様子がそれでもまだ感じられた。

人それぞれ酒の飲み方があるので、私はあまり気にならない。

酒の酔いにまかせて他人の世界に押し入ってゆくのは好きではない。

ある日の夕刻、また彼に会った。

「○本さんは…土曜日また来ますか?」

と、声をかけられた。名前はお互い名乗っていた。

「来ますよ…一緒に飲みに行きましょうか」

彼が私に対し警戒心を解いていることは分かっていた。

カウンターで一緒に飲みながら話をした。

彼は自分の事を語った。深い悩みだった…。

彼の暗さの一面がそれで理解できたように思った。

私より20歳ばかり若い。最近離婚し子どもさんが1人いるが、彼の元から離れていった。

そのことで彼は深く傷ついていた。

酒は最近飲み始めたと言っていた。

よく声をかけてくれたものだ…

さて、
土曜日、彼をどの店に連れていってあげようか…




Posted by Ric. at 21:31│Comments(0)
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