この日、この空、この私

酒場の喧騒が好きだ。

いくらうるさくても気にならない。

それは酒場にいる客がみんな楽しく酒を飲んでいるからで、

そこから発せられる笑い声や会話は耳障りではない。

だがたまに、耳に付いて離れない、波長の違う音が交錯する時がある。

それは決まって自慢話であったり、人の悪口であったり、愚痴であったりする。

こういう誰が聞いても面白くない話ほど耳の中に強引に侵入し鼓膜に貼り付いて離れてくれない。

ちょうど不味い料理の味がいつまでも舌に残るようなものだ。

防御方法は2つしかない。

静かに席を起つか、
さもなくば、店のｽﾀｯﾌに

「ﾋﾟｰﾅﾂ2つ！　耳栓用に！」

と、大きな声でうるさく喋る客に聞こえるように叫ぶことだ。

効果の程は知らない。まだ試したことがないから(^^)