2010年06月20日

なかなかやるなぁ−、婆さん

鼻血が時々出るというので母を私の行きつけの耳鼻科に連れて行った。

87歳の老婆の印象は全くない。

首にネッカチーフを巻き、髪を薄い茶色に染め、それが地毛の白髪と混じり遠目には金髪に染めたように見える。口に紅を差し、うっすらと化粧もしている。

「なかなかやるなぁ−、婆さん!」

母は初めての人と会うと過度に緊張する。昔からの癖だ。

待合室でも終始落ち着かない様子だ。

名前が呼ばれ診察室に入る時、深々と何度もお辞儀をする。これも昔からの癖。

鼻の粘膜が少し荒れているとの診断で大したことはなかったが、血圧が172とべらぼうに高い。

「はい。前からそうなんですけど…」

「それがなにか?」と言わんばかりの気丈な口ぶりで医者に答える。

血圧を抑える薬を処方してもらい、診察室を出る時も深々とお辞儀をする。

昔から
何も変わっていないな…。

この律儀さと気丈さで、
母は、大正、昭和、平成と生き抜いてきたのだ。



Posted by Ric. at 22:57│Comments(1)
この記事へのコメント
粋っ.+:。(≧∇≦)ノ゚.+:。
Posted by じょっぷ at 2010年06月22日 13:52
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