2010年09月20日

母の底力

母は、2年程前に直腸に穴が空いて緊急手術の結果、


直腸を肛門から切除し人工肛門になった。

母、84歳の時だった。


「親からもらった大事な体を」と、当初は落胆もし涙も流していた。


若い人でも人工肛門は精神的にショックを受ける。


便が肛門ではなく、横っ腹に穿った人工肛門から出てくる。


また便を溜めるストーマーというウンチバッグの装着も慣れるまで時間がかかる。


その精神的・肉体的ショックに、84歳の母はよく耐えた。


トイレの中で一人でストーマーを取り替える作業は侘しく、精神的苦痛を伴う。


その母が今、痴呆で苦しんでいる。


時折、自分の状態がもどかしくなるのだろう。悲嘆にくれた表情を出す。


でも昨日の昼だったか、

「あたしは負けへんで。がんばるで」

と、宣言するかのように大きな声で自分に言い聞かせていた。


母の底力を、見たような気がした。




Posted by Ric. at 10:56│Comments(0)
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