2010年10月30日

奇妙な同居生活

「二階のベッドに寝てる男の人、あれ誰やろ」


「? 誰て…この家にはお母ちゃんと僕の2人しかいてないで」


「そんなことないわ。あんたともう1人いるやろ。いっつもベッドに寝てる人」


「あれは僕や! お母ちゃんしっかりしてや」


「そうやったかな…」


痴呆の兆した母と同居を始めて1ヶ月が過ぎようとしている。


最近は精神的に安定しつつあるものの、夜9時過ぎになると、母の意識は混乱を来す。


睡魔が襲って来ると、過去と現在の境界がなくなる。

僕の残像が見知らぬ男と入れ替わる。


当初は、母は気が狂ったんじゃないかと暗澹とした気持ちになったが、

この頃ではすっかり慣れっこになった。


「お母ちゃん、惚けたらあかんで、はよ寝ーや」


「そやな寝よか。お休み」


こういう会話が2人の間に違和感なく成立している奇妙な同居生活。


お互い成長したということか…。



Posted by Ric. at 13:42│Comments(0)
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