2010年12月19日

なぜだかその頃の私は…

なぜだかその頃の私は…
なぜだかその頃の私は…

…なぜだかその頃の私は見すぼらしくて美しいものに強くひきつけられたのを覚えている。


風景にしても壊れかかった街だとか、


その街にしてもよそよそしい表通りよりもどこか親しみのある、


汚い洗濯物が干してあったりがらくたが転がしてあったり


むさくるしい部屋が覗いていたりする裏通りが好きであった。


雨や風が蝕んでやがて土に帰ってしまう、というような趣きのある街で、


土塀が崩れていたり家並が傾きかかっていたり―



梶井基次郎『檸檬』より



疲れたとき、梶井基次郎を読むと救われたような気分になる。



Posted by Ric. at 03:42│Comments(0)
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